前編で子どもは、7歳になるまで「神様からの授かりもの」と考えられていたとお伝えしました。特に3歳～7歳の間は、乳歯が生え変わり、言葉を覚え、また免疫力が弱く病気にもかかりやすいことから、子どもの成長を祈願する行事として誕生した七五三。

数字のとおり、子どもが3、5、7歳になったら行う行事ですが、それぞれちゃんと意味があるのです。例えば、3歳の時に行われるのは「髪置の儀」です。これは、古くから生後7日で産毛を剃り、男女ともに3歳まで丸坊主で過ごしていた習慣をこの歳で終わらせ、髪を伸ばし始める儀式です。男の子だけでなく、女の子も丸坊主だなんてちょっとびっくりですすよね。しかし、疫病や病気の感染を防ぐためと、子どもの成長につながる明確な理由がちゃんとあったのでした。

つづいて5歳になると「袴儀」を行います。これは男の子の儀式で、この時に人生で初めて袴を着用します。袴は武士の正装であり、男性として社会で生きることの証でもあります。幼児から卒業し、一人の男性として自覚を持つことがこの歳で求められていたんですね。

まだ5歳なのに？と少々気が早いようにも思いますが、今よりはるかにこどもの生存率が低かったことや、厳しい武家社会が背景にあるので、男性として早くに自立することは社会的に当然だったのかもしれません。

最後は7歳。これは、女の子が行う儀式で「帯解き」と呼ばれます。この歳になるまで、女の子は着物に付け紐をして着付けを行っていましたが、7歳になると大人の女性と同じ丸帯を着けることに由来します。男の子の「袴儀」と同じく、女の子も「帯解き」を行うことで、大人の女性の仲間入りを果たしたのです。

まとめると、3歳は男女ともに、5歳は男の子、7歳は女の子の儀式が行われることがわかりました。それぞれの由来や儀式の目的には、日本に生まれた子どもたちの歴史が刻まれていたのです。ちなみに、昔は生まれた年を１とする「数え年」で七五三をお祝いしていましたが、今は生まれた年を0とし誕生日ごとに年を数える「満年齢」で行うのが主流です。

しかし、兄弟や親戚と一緒に七五三を行う場合は、どちらかが数え年または満年齢でも大丈夫。厳格な決まりはないので、子どもたちのタイミングを合わせて行うことができますよ。

神社で着付けや撮影ができる！今年の七五三は熊野那智神社で！

2020.11